自分の演奏に音源をどう活かすか

桜

 

 

東京は桜が満開、今週末にお花見をなさった方も多いのではないでしょうか。先日Facebookにも投稿したのですが、2012年に私こんな記事を書いていました。ネットの宝の山をどう活かすかという時代になってきたから、このあたりを指導していきたいという決意表明なのですが、ブログでもまとめてみたいと思います。

たくさんの音源を聴いて勉強するって、具体的にどうすればいいのか3点にまとめてみました。

1 譜読みに音源を利用するのはありか?

レッスンで、どうやって楽譜を読んでいくのか教えているつもりなので、たぶん私の生徒で譜読みのために音源を利用している人はいないんじゃないかなと思っています。子どもの生徒の場合は特に、目の前で新しい曲と取り組んでから帰すようにしていますし、そもそも、バイオリンランドの音源が先生の家にあるミディーデータ以外にあることすら生徒達は知らないのではと思います。実はCDがあります。(笑)時々、譜読みの速い生徒には「鈴木鎮一バイオリン指導曲集」を使ったりしますが、その場合も、「譜読みのためにCD聴かないでね。」とクギをさしておきます。唯一、「是非CDの力を借りてね」というのは、アマチュアオケに入ってしまって、譜読みが全然間に合わなくて、一体何から手を付けていいのやら。という生徒さんに。この場合は積極的に利用するように通達します。まずは、落ちなくならないことには練習にも楽しく参加できないので、スコアーを見ながら自分のパートの指差ししてもらって、迷子になったところは、一旦立ち止まってリズム練習。みたいな感じでとにかく目だけでも練習についていくというところから始まります。なので、オケの場合のみあり。

2聴くときはどんなチョイス?

さて、譜読みが終わりこれから本当の勉強が始まります。自分が勉強中の曲をもっと深く知るために、自分の勉強中の曲だけでなく、その作曲家のいろんな分野の曲を聴くといいですね。あとは、音楽様式をつかむために「メヌエット」だったら「メヌエット」ばっかり、「ガボット」だったら「ガボット」ばっかり、何種類も聴いてみるとなにか発見があることでしょう。もし、CDに録音が見つからないような曲だったら、同じ時代の作曲家や、その作曲家に影響を与えた人を聴いてみると、その時代の演奏習慣や、その時代特有の音楽の特徴がわかってきます。例えば、モーツアルトだったら、先生のクリスチャンバッハとか、プレイエルだったらその先生のハイドンとか。今では、ネットにウイキペディアというすばらしいものがあるので、関係のある人を探してみるといいですね。

例えば、ラ・フォリアってこういう曲ですって文章で読んでも、「スペイン起源の緩やかな3拍子の曲で、定型化された低音旋律の上に成り立つ変奏曲です」って言われても、イメージわきますか?(笑)どう演奏していいのかには、なかなかつながらないですよね。もちろん、知識として知っておくことは大事ですから、是非勉強して下さいね。でも、何種類もラ・フォリアを聴いていくうちに「ああ、こういう曲がラ・フォリアっていうのか」って、わかってくると思います。是非、たくさん聴いてください。分かったら、そのラ・フォリアを自分の演奏に取り入れていけばいいのだと思います。

もし、自分の勉強する曲が、いろんな演奏家がこぞって録音しているような名曲だったら、(そんな曲が弾けるなんて、すごい幸せですよね)何種類も集めて、端からぜひ聴き比べてください。先日、NHK-FM「古楽の楽しみ」を聴いていたら、(もちろん寝坊助なので録音で)なんと無伴奏チェロ組曲の聴き比べをしていました。本当に面白かったです。バロックチェロで演奏したり、モダンチェロで演奏したり、モダンチェロでもいろんな演奏家の録音で、あとはピッチが違うものでも流れていました。なんというか、どれも本当に「あり」なんですよね。どの演奏にもそれぞれに魅力があって感動しました。その「ちがっていること」にも。違っていて当然で、すばらしいことだなと思いました。誰かの一枚のCDを、しかも録音年代で演奏も変わっていくのに、そのまま真似してしまっても、学ぶは真似るなのだからある意味勉強になる時期はあるかもしれませんが、どうしてそう演奏したのかを探求しなければ、その後の勉強に応用しにくいと思います。

 

3楽曲を深く勉強したら

もし、勉強が進んでその曲の分析までできるようになったら、その分析結果をじっくり見ながら、もう一回聴いてみてください。とても楽しいですよ。ゼクエンスはどういう風に表現してるでしょう。終止形はどういう風に演奏してるんでしょうか?ここはなぜ、アッチェレランドしてるんでしょうか?同じモチーフは、みんな同じように演奏しているでしょうか?それとも、少しずつ変わってるんでしょうか。フレーズの切れ目はどのくらい自分の考えと合ってるでしょうか。さり気なく表現してるのか、分かりやすく表現してるのか。昔私が凝ってたことのひとつは、メトロノームをかけてCDを聴くことです。(笑)同じテンポで弾いてる演奏家なんかいないのですが、でも、決して走っているようにも聞こえないし、遅れているようにも聞こえないんですよね。父がよく言っていましたが、一流の演奏家は、それをさり気なく音楽にそってやっている。貸りた時間はちゃんとどこかで返してる。まさに、そんな感じです。どんな場面でどういうことをしているのか、分析しているとより具体的に分かると思います。もうこんなことしてると、あっという間に時間が経ってしまいます。練習時間なんて、いくらあっても足りないですね!

ということで、生徒の皆様、一流の音楽をこれからも楽しんで聴いて下さいね。

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