レッスンカルテ〜お家でやっちゃいけない練習法〜

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今日はドイツで撮った写真でも。もっとレッスンカルテを頻繁に更新しようと思いつつ、更新ペースがイマイチですみません。

今日は、こういう練習は本人のためにならないよという練習をいくつか書いていこうと思います。特に、大人と一緒に練習するのは、バイオリンを始めたばかりの小さい生徒さんの場合が多いかと思います。

 

1 レッスンの内容とかけ離れた練習

まず、うちの教室ではレッスンの見学をオススメしています。ご父兄がいると気が散って集中できないという生徒さんには、ビデオの録画。先生によっては見学不可というお教室もあるようですので、見学なさる場合は一言許可をいただくとどうでしょうか。私は、もしお家での練習を有意義にするのでしたら、是非見学なさったほうがいいと思います。で、見学して何をするのかですが、うちの子しっかりやってるかしら、上手になってるかしら、先生の言うこと聞いてるかしら、そんなことはあまり重要じゃなく、先生は、どんな風に弾けるまで手順を追っているのかということを、よく観察してください。

一人で練習ができるようになったところで、見学付き添いは終了となりますが、大体10歳位でしょうか?自分で自分のことがよくコーチできるようになった頃が、いい頃合いかと思います。

私は生徒に質問をしながら、この音なに?とか何拍?とか進めます。一番最初に新しい曲に向かい合ったとこに、どこから攻めるか、そのとっかかりがレッスンを見学していただくことでわかると思います。つまづいたときに、どんな練習をさせているか、というのも観察していただくといいと思います。例えばアクセントができないときは、弓だけに戻ったとか、目で弓のスピードを確認してたとか、そういう手順や練習のヒントがレッスンに隠れていると思います。40分の中で特に、こういうことをさせたら、納得していたとか、本人に変化があったなど、そういうこともメモしておくと、お家での練習に活かせますね。レッスンでやったことを、家で再現できたらかなり練習がはかどるのではと思います。

もちろん、レッスン内で全部弾けるようになって、あとは反復練習ねという生徒もいるので、その場合は反復練習をしていけばいいですね。

2 全部答えを教えてしまう練習

これは生徒にもよるのですが、生徒が弾いてる隣で、練習のパートナーのご父兄が、「次はミ、レ、2の指よ」などと、ガイドをしてあげるすぎる練習をしていると、仲々自立できないようになります。少し時間がかかっても、自分で読ませながら練習するほうが実力がつきます。もちろん、全部が無理なら、難しいところだけ隣でナビをしてあげるなど、せめて一部にしてあげましょう。

あと、全部歌ってあげながら練習させてしまうと、やっぱり自分で読もうとしなくなります。毎週上手に練習してくるんだけど、仲々新しい曲になると、ゼロから教えることになって、譜読みが速くならない生徒などは、いつもご父兄が隣で歌ってあげていたということも、ありがちなことです。

あと、ピアノを隣でずっと弾いてあげるのも、それを指で探してなぞるだけになりがちなので、譜読みの力がつかないことがあります。もちろん、ソルフェージュの進度よりも、今弾いてる曲の方が難しいので、ピアノの力を使って音を取るというのもありですが、その際は必ず、本人が歌って、体の中に音程をインプットするという一手間が大事だと思います。

小さい生徒には、練習時に指差しをして、楽譜を見る習慣をつけてあげるといいですよ。短い曲だと、小さい子はすぐに覚えてしまうので、楽譜を見ないで練習してしまいがちです。様子を見て、楽譜を見てないなと思ったら、指差しをしてあげましょう。

3 中高生は、どんな対応をすれば?

私の両親に関して言えば、中学生になったらまったく口出ししなくなりました。練習しろともいいませんでした。音楽大学行こうとしてるのに!(笑)そもそも勉強しろとも言われたことないですけど(爆)練習するとかしないとか、全部本人の能力の一部だと思っていたのだと思いますし、本人も音大出ていたので、学校と日常と音楽の練習の両立がいかに大変かということがわかっていたのではと思います。ある程度小さい頃に毎日練習した習慣があれば、毎日といかなくても、練習すればこのくらいは弾けるようになるということも分かっているので、自分なりにやっていました。

なので、アドバイスは2つ、学校は近いところにしないさい。通学は毎日だから、時間がもったいない。学校なんてそんなにカリキュラムが変わるわけじゃない。部活動はやめなさい。部活動入ったら練習はますますできなくなる。けがも心配だ。これだけでした。そもそも運動は大嫌いだったので、入ることはなかったのですが、高校生の時に歌うことが大好きで、うっかり合唱部に入ってしまって、自分で、こんなことしてたらバイオリンなんてできないとわかって、自分でやめてきました。正解でした。まあ、楽しかったけど自分のやりたいことは何かを考えたら、当然ですね。

音大に入ったら、今度は異常に「毎日練習しないと下手になる」という、なんか病的なくらいに思い詰めて、毎日練習していました。でも、なんというかあの思考回路はちょっと違っていたなあと思います。本番で緊張して弾けなくなるのも練習が足りないせい、成績が悪いのも練習が足りないせい、先生のレッスンが素晴らしいのに、自分が向上できないのは練習が足りない。と常に、音楽におびえて対峙していたように思います。でも、いっぱい練習してるんですよ。今思えば。足りてないことなんてないのに。(笑)なので、少しずつは上手になるんですが、本番で全然力が出せないんです。まだ足りない、あそこの練習もここの練習も足りないっていつも思っているので。

4年生で教育実習にいくのですが、ものすごく楽しくて、ずっと自分に対して失っていた自信がちょっとだけ回復して、バイオリンで食べていけなくても、他にも人生があるんじゃないかなって思い始めたら、少し「毎日練習しないと」という呪縛から解き放たれて、気持ちも楽になりました。そしたら、4年生が一番練習時間が少ないのに、本番で緊張する量が全く減って、うまくなりました。この思考回路の変化は、またいつか。

うちの教室の中高生の子どもたちも、上手に適当にやってくれていて、発表会も出るし、私みたいに音楽に怯えて、練習しないと下手になる病にもかかってないみたいだし、のびのびやってくれていて、うれしいなと思います。レッスンでは、大人になってくる年代なので、大人にレッスンするようにレッスンしています。一緒に楽曲分析をしたり、いかに短い練習時間でこの音程が取れるようになるか、一緒に考えたり。レッスン日の前に、あわててちょっとだけ練習して、レッスンに行ってるんですよ、すみません。なんてご父兄に言われつつ、モーツアルトのコンチェルトや、ブルッフを弾いたり、バッハの無伴奏まで弾けるようになったりした中高生もいます。私なんかより、ずっとずっと思春期を上手に生きてるなと思います。

先日、小さい頃にずっと教えていた大人になった生徒が、またレッスンに通いたいって連絡をくれました。ものすごく嬉しかったです。何が嬉しいかって、バイオリンを大人になっても弾いていてくれたことです。ご家族も、お嬢さんがバイオリンを習い始めたら、ものすごく音楽に興味を持ち始めて、家族で音楽がお好きになったご一家。私の仕事は、瑣末なものですが、音楽が好きな仲間がこうやって増えていくことが、何よりの生きがいです。

 

 

 

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