合奏はなぜ合うのか?音楽心理学の視点で

DSC03044 (1)  トーマス教会でのオケと合唱の写真です。

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先日の合奏の指導が今ひとつだったので、(生徒のできが今ひとつということじゃなくて)、私の指導が今ひとつ閃かなかったなと思って、昨日の休日は一日反省していました。基本的に負けず嫌いな性格なんだなと、こういう時には自分を分析したりして。以前の自分より向上してないと、自分に負けてる気がして嫌なんです。(笑)

夫にも、なんか時間合ってる合ってないっていうより、バラバラって感じがするんだよね。と言われて、なるほどねえ。自分でも実際にメトロノームと弾いてみたりして、走っているというより、あの慌ただしい感じはどうしてだろう?と考えつつ、とにかくなんかヒントになる資料を探しまくりました。ネットや書物も含めて、自分より勉強している人の数は5万といらっしゃるわけで、そういう時に活字は本当にいろんなことを教えてくれます。

で、こういう論文を見つけました。音楽心理学というのは、音楽教育の一つの分野でもあるので、音楽教育学会に所属している先生も多いのですが、この河瀬さんという方は、日本心理学会 、日本音楽知覚認知学会 、日本認知科学会の所属の先生のようで、私の不勉強ながら存じ上げませんでした。音大の音楽教育学科には音楽心理の講義があります。私の先生は女性ですごくかっこよくて、優しい先生でした。研究者って香りがして私は心ひそかに憧れていました。

それはさておき、そもそも合わせるときに人間はどうやって合わせるのか。1)視線を使う2)音楽の解釈を共通認識したりして表情を合わせる3)呼吸を合わせる

この3つだそうです。とりあえず、指導内容は合ってるんだなということが確認できました。とにかく、合わせないといけないところは顔を上げるように、指揮者かトップをみるようにと指導しています。音楽的な共通の認識は時間をかけてしています。ブレスと前動作は必ずするように伝えています。顔の表情というのはなるほどなと思いました。それも大事な要素なんですね。冗談みたいに、悲しい時は悲しい顔して弾きなさいって言ってましたが、あながち間違ってないのか!なるほど。

その次の論文「アンサンブルの人間関係」というのが、これまた面白かったです。

 

(1)カリスマ性がある:ビジョンや使命感を与え、プライドを植えつけるような、(2)モチベーションを高める:方向性や意味を指し示すことにより、熱中させる、(3)知的な刺激を与える:古い考えを見直し、新しいものをもたらす、といったものです。ただし、指揮者の変革型のリーダーシップがうまくいくには、オーケストラのメンバーどうしに協力的な雰囲気があることも必要だと示されています。また、指揮者とメンバーのよい関係は、すぐに生まれるわけではないことも報告されています。その研究では、指揮者と演奏者は、互いに試行錯誤をくり返しながら信頼を築き、最終的には、責任を共有し、上下関係の壁の低い、変革型のリーダーとフォロワーの関係になると述べられていました※10。このように、指揮者ははっきりとしたリーダーシップを発揮しているものの、演奏者との人間関係についても、かなり気をつけなければならないようです。 引用「アンサンブルの人間関係」

指揮者の条件というより、集団指導する指導者の条件ともいえますよね。こういう指導者が求められていて、その関係性も少しずつ進化していく過程がある。一瞬民主主義的な指導者;みんなが演奏するんだから、みんなが演奏したいようにしましょうねというような指導が良い指導というような勘違いもあるのかもしれませんが、集団指導、特にオーケストラ指導においては、上記のような一緒に試行錯誤しながら生まれる信頼とカリスマ性が大事なんだということが、この論文で確認できました。2005年くらいから「あんさんぶるえこー」の発表会が始まっているのですが、10年以上の関係があって今があるんですね。

このあとに、2本論文が続いています。興味のある方は是非ご一読を。おもしろいですよ。

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