おうちでの練習の最終目標はなんでしょう?

◯年齢別 子どもが大人に求めるものと大人の生徒さんが求めるもの

一応大学は、音大の中の「教科教育(音楽教育)」を勉強する授業がたくさんある専攻だったので、年齢別に親や大人に求める大人像が違うということは、勉強した様な記憶があります。エリクソンの発達段階とかもやったような・・・。笑)

時代も変わりましたね。その頃はインターネットもなかったですしね。現在の文科省は、こんな感じで発達段階の特徴を捉えています。

年齢別に大人に求める像が変わっていくのですが、幼少期は「愛情と安心」、思春期は「理解と尊重」、成人期以降は「自立への支援と精神的な繋がり」といわれているので、一人のお子さんと10年くらい付き合いながら、私も教師としての態度を変えて接しているつもりです。

もちろん生徒さんには、大人も含まれているので、大人の生徒さんには、その人それぞれが持っている熱量にお付き合いするようにしています。今は、とにかくレッスンにきてちょっと私とおしゃべりして、家では音が出せないからその分レッスンだけで頑張りたいという人にはそのように。その人に厳しいレッスンをしても、そんなものは求められてないですしね。

大人の趣味のレッスンといっても、「先生のように弾けてない」と高みを望む生徒さんには、できるだけ近づけるようにとことん付き合います。私ごときを目標にするのも、目標低すぎますが。笑)

大好きなこのヴァイオリニストの演奏を聴いて、「ああ、自分と違うな。何が違うんだろうな。」と研究しながら練習しているという大人の生徒さんもいます。そういう人にも、とことん付き合います。

ボウイングで悩んでいたら、50分ずっとボウイングなんてレッスンの方もいらっしゃいます。

大人は、自分でやりたいと思って通っていらっしゃるので、熱心な方が多いです。行事は全部積極的に出てくださる、熱量の高い生徒さんも、たくさんいらっしゃいます。

まあ、まずは、人前で演奏して成果を発表しないと上手になりませんよね。発表会を大いに利用してください!絶対にそんなものは出ないという生徒さんもいらっしゃるので、ここも、その人の熱量に合わせてはいます。

◯ユリカ先生のレッスンは?

熱心に親御さんがお子さんの練習を見てくださることは、昔に比べたら、大変難しいことになってきました。

ご両親働いている方がほぼ100%ですし。毎日生きてることに精一杯だと思います。でも、不思議なことにある一定数、ちゃんと家で練習をいっしょにみてくださるご家庭も存在するんですね。ありがたいです。

家で練習して、私にレッスンを受けたら、上手にならないわけがありません。(言い切っていいのか?笑)

不器用な生徒さんも、器用な生徒さんも、もちろん上手になる時期が、「今」の場合も、「中学生になって突然」の場合もあるかもしれませんが、家での練習が充実したら、本当に上手になると思います。

以前ピアノの先生のThreadsを読んでいて、(特にフォローしてなくても、私に読めとばかりに流れてくるんですよね)他の教室で上手にならないからと転入して来る生徒さんに、やっていることと言って、箇条書きになっていたのが、靴を揃えるとか、返事をきちんとするとか、あいさつをするとか、自分でレッスンバッグを持ってくるとか、ピアノと全く関係ないことがいくつも上がっていました。その先生は、そういうことを徹底されて、あっという間に生徒が変わって、上手になるそうです。実際に見たわけじゃないので、話が盛ってあるかもしれませんが、これは一理あるかもなと思って読んでいました。

人にものを習う態度が、上達を左右するというのは、多少あるかとは思います。

とはいっても、挨拶しなさいくらいは言いますが、特に靴が揃えてなくても、教室で寝っ転がろうが、「ちゃんとさせる」ことに、命をかけてレッスンはしていません。返事は、こちらがわかったかどうかの確認なので、してもらうように促すかな?ヴァイオリンを習いに来ているのであって、お行儀を習いにきているわけではないので、そこはあまり心配なさらないでください。必要最低限で大丈夫です。子どもとはいえ、人と人がそこに関わっているわけですから、人が不愉快に思うような態度をとれば、私も不愉快だといいますし、人間同士としてつきあっています。

◯家での練習の最終目標は?

レッスンが終わって、次に私と会うまでに、7日間くらい。その間、10歳未満の生徒さんは、親御さんと練習してきます。本当に親御さんはありがたい存在で、私にとっては、生徒さんの成長をともに喜べる、相棒のような、同志のような存在が親御さんです。家でこういうことに困ってると正直に伝えてくださる親御さんは、もう100点満点の存在です。

大好きな我が子が、レッスンでうまくいって、上手に弾いて褒められたらきっともっとバイオリンも好きになってくれるだろうし・・。という親心が変な方向に行ってしまって、色々取り繕わなくて大丈夫です。楽譜が読めないから、音源さがしてきかせなくてもいいです。できなかったら、できなかった。楽譜を読ませようとしたら、すごく時間がかかったなど、私がレッスンするヒントになることを教えてくださるのが、とても大事です。

私のレッスンは、見ていてすごくまどろっこしいなと思うことが、多いのではないかと思います。

終わったら、「どこか違ったところある?」「それどこだった?」「その音はどういうふうに間違えてた?」「高かった?低かった?ちょうどよかった?」いやいやいや、習いに来てるんだから、そこ高かったから直せでいいだろう。レッスン代も高いんだし、さっさと教えてよ。なんて、思われてるかもしれません。笑)

確認しましょう。私達大人の一番の目標はなんでしたっけ?「子どもの音楽的成長」でしたよね。「この曲を間違えないように弾くこと」が、目標でしたっけ?

この曲が間違えないように弾くことができたとして、例えば音程ひとつとっても、言われるがまま直すだけだったら、次の曲に進んだら、また同じ苦労をさせることになりますよね。だって、高いか低いかわからないまま直しているだけですから。

このまどろっこしさのもう一つの目標は、「音楽的自立」もねらっています。

ただ、間違えないように弾くことを目標にしてしまったら、子どもの中に芽生える価値観は「間違えないように弾くことが大事」「間違えたら、いい演奏じゃない」という価値観です。人間だから間違えることもあるけど、そのときにどうしたらいいかを教えていくのも大事だと思っています。それに、間違えない演奏よりも、少々間違えても、いい表現をして、人を楽しませる、感動させる演奏のほうがいいと思いませんか?

なので、音程を間違えたら自分で直せる。つっかえても、どこかからリカバーしてもどってこれる。ここが大事です。

そして、この私のまどろっこしさの一番のねらいは、「バイオリンのことで悩んだり喜んだりするのは、自分だ」という、自己認識につなげていくことです。

バイオリンをやってるのは、最初はお母さんの希望だったかもしれませんが、でも、今悩んだり、喜んだりしているのは、誰よりも自分であってほしいのです。だって、自分が自分のことをちゃんと認識できれば、上手になったこともわかるし、できたこともわかるし、成長したこともわかるし、壁を乗り越えたことも自分がわかるんですよ。すごくないですか?褒められたから嬉しいの、何十倍も嬉しいと思います。

なので、小さい頃から、「小さい決断」と、「小さい選択」をたくさんさせています。

「宿題多い?」とか「次どこまでやってくる?」とか、「発表会出る?」「発表会どんな曲弾きたい?」小さいから、選択できないとは思ってませんし、選択させる前にある程度の情報も与えます。「どんな楽器がいい?」「こっちの弓とあっちの弓どっちが好き?」楽器も、予算内で自分たちで選ばせています。大人だけで決めることは、ほとんどないです。

大きくなって選択させようと思っていても、こうやって選択と決断をしてこなかった子が、大きくなっていきなりできないですよね。小さい決断と選択をする練習をしていたからこそ、大きくなってからの大きな決断が自分でできるんだと思います。

なので、お家でもぜひ練習中に、間違えたことを伝えるだけじゃなく、子どもに色々と問いかけてみてください。小さい子だったら、きっと大好きなママに質問してもらえて、嬉しいと思います。正しい答えが返ってこなくてもいいんです。質問して考えさせることが大事なんですから。

今発表会の曲を選ばせてるんですが、思春期の子たちが、果敢に難曲を選択していて、私のほうがドキドキしています。笑)きっと自分にはできると、自分を信じているんでしょう。秋には先生2週間いなくなるからね。という情報提供も欠かしていません。

毎日、毎日、人間の成長を見ながら、「いいもの見せてもらったな」と思いながら、私の一日が終わります。

 

 

 

 

 

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