子どものお家練習に必要なこと2つ〜後編〜

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前回に引き続き同じテーマで。

私のお教室は、レッスンの録画録音メモや、ご父兄が同じ楽譜を持参してメモするなど、なんでも許可しています。その代わり、youtubeにアップしたりは、だめですよとお願いしてあるので、たぶんネットには出てこないと思います。(笑)いつか、どんなレッスンなのか、動画を録画する機械も買ったので、モデルさんが現れたらアップしてみたいとは思っています。まあ、そのうちに。

レッスンでどんなことをメモすればいい?

レッスンってどんなことをメモすればいいのでしょうか?

意外と聞いてくる方がいらっしゃらないのですが、以前お一人だけいらっしゃいました。正直に、何メモすればいいのかわからないですと。意外と授業研究という研究分野があるように、人の授業を見てポイントをつかむって難しいですよね。大昔の研究は、全部の授業での発言をメモして、教師と生徒の発言率を時間で出すみたいなことも行われていたりしました。私の大学院の修論はこの授業研究がテーマなのですが、そういう数値的な授業の見方から、医師が患者のカルテをとるように、生徒の様子の気づきを書く、メモするところから始めようよという論文を書いて修了しました。もうあれから20数年たつので、今はもっと研究は進んで授業の本質の見方も、改良されているかもしれません。

この場合は、ご父兄が家庭でレッスンをもう一度再現する、やってみるときに役立つようなメモをとるということですので、授業研究とは少し違うかもしれませんが、手法は同じでいいと思います。①レッスンのポイント、宿題の方法をメモする  ②生徒が変わっていった様子をメモする  ③教師の発言の仕方をメモする 特にお家でついガミガミ言ってしまって、お子さんとバトルになるという方は  ③をたくさん取ってみてください。

子どものお家練習に必要なこと

前回の記事でお家での練習に必要なことは2つ1)ご両親の前向きな気持と、2)共感だとお伝えしましたが、今回は「2)共感」について。レッスンの中でも私が生徒に共感している言葉がいろいろ出てきます。

2)共感

バイオリンランドの著者の方はゴードン博士の『親業』も学ばれていて、そのテイストもところどころこのメソッドには出てくるのですが、同じことを伝えるにも

A「何小節目がだめでした。」

B「何小節目、残念だったね。惜しかった。何が惜しかったかっていうと・・・」

というのでは、かなり違ってきます。

何が違ってくるかといえば、Aは教師として、もしくは楽器の演奏者の上級者として、評価をくだしているセリフです。Bは、この曲が弾けないというのは、本人の取り組むべき問題で、本人の気持ちがきっと残念だったり、惜しい、本当はもっと上手くいったのに、もしくはできるはずだけど今はまだできないという気持ちを共感している。ということになるかと思います。

上手くいった時も、私も「上手くいったね!」となるべく嬉しそうに気持ちを込めて言います。「あなたの気持ちもそうでしょ。上手くいって嬉しいよね。」という感じです。褒めることがすべて教育にとっていいとは限らないこともあります。褒めることも評価の方法のひとつなので、褒めてばかりいいると、親の評価のために演奏することになります。今のその音すごく好きだったとか、いい音したね、楽しいね。とかそういう言葉がけが、共感しているのよというメッセージになると思います。

親子でそんなに気を使う必要はない、もっと社会に出たらガンガンとダメ出しされるんだから、小さい頃から慣らさないとだめだとかいう考え方をなさる方もいらっしゃいますが、小さい子であればあるほど、傷ついた時に(上手くここが弾けないという時に)親に共感された子どもは、外に出ても、どんどん挑戦していく、がんばっていく子になっていけるんじゃないかと思いますし、実際厳しいけどしっかりと共感される親御さんのお子さんは、自分で人生をドンドン切り開いていっていて、なるほどなと思います。

「お願いモード」は良くない

あと、バイオリンの練習について「お願いモード」が、一番うまく行かないと思います。お願いだから練習してちょうだいというのは、いつまでも親のために練習することから、自分の問題としてバイオリンを弾くんだということへ、移行しないままだと思います。

だって最初は親の趣味で習い事決めたのに・・・とずっとそれを引け目に感じているご父兄もいらっしゃるのですが、最初はだれだって、誰かの影響で何かを始めるものです。いい環境を与えたくて、いい人生を与えてあげたくて親御さんがセッティングしたのですから、自信を持って与え続けてください。でも、いつかはそれが自分の問題として、自分の人生の一つして、バイオリンが弾けることがアイデンティティの一つになっていくんだと思います。

先日とある子どもの生徒が「まだバイオリン習わされてるの?」って知り合いの大人に聞かれたら「習わされてるんじゃなくて、習ってるんです」って答えたそうです。(笑)その話は結構嬉しかったです。

そうは言っても親子ですからね、うまくいかない事が多いですよね。親子でもともと遠慮がないんですから、ある程度はバトルもあると思います。その時に、叱ってる時に何を叱っているのか、はっきりさせることが大事だと思います。

「あなたのその態度は、人にものを習う態度じゃありません」とか「何時から練習しようって言ったのに、時間の約束をしたのに、守れていません」とか、そういう風に、何に対して叱っているのか言ってください。「ああ、もう、なんでそうなの」って言われて、何がだめだったかわかります?わかんないですよね。(笑)この前、Facebookにも書いたのですが、

「習い事の意味ってその習い事ができるようになるというのは、(バイオリンがものすごく上手になるとか、バイオリニストになるとか、野球やって野球選手になるとか)そういうのは、二次的なことなんじゃないか。それよりも、コツコツやるといいことがあるとか、嬉しかったとか、努力がだんだん楽しくなったとか、大人の人と上手にコミュニケーションが取れるようになったとか、礼儀が身についたとか、そういうことのために習うんじゃないか。」

叱る機会も増えて大変だけど、それだけご父兄は素敵な大人になるチャンスを与えてるんだと思ってはいかがでしょう。

 

 

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