『ハーバード大学は「音楽」で人を育てる』 菅野恵理子著

ハーバード大学は

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しょっちゅうツイッターやらネット上でこの本の情報は流れてきていたのですが、音楽の習い事で培った、がまん強さやら、集中力やらをエリートさんたちはこういう風に活かしてます的な本なのかと思ってずっと敬遠していました。読んでみたら全然ちがう内容の本でした!(笑)

そもそも音楽を習うのに、音楽そのものを愛するようになってくれて、音楽を一生の友達にするように生徒たちをするのが仕事で、なぜ脳が活性化するとかそういう理由を取ってつけたように並べるんだろうと、常日頃思っていました。(笑)受験勉強にも役に立つとか、そんなことをいい出したら、いつまでも音楽はその周辺でしかないってことになるような気がして、音楽で何かを学べる可能性というところは、私自身、ずっと横においてきた様に思います。

この本でアメリカのリベラル・アーツ教育の現状が詳しくわかり、勇気が出ました。音楽大学が生き残る道は、ここに隠されているのかも!とも。それぞれアメリカの名門大学は次のように、教養しての音楽を取り入れているそうです。

ハーバード大学:音楽で「多様な価値観を理解する力」を育む

ニューヨーク大学:音楽で「歴史を捉える力」を学ぶ

マサチューセッツ大学:音楽で「創造的な思考力」を高める

スタンフォード大学:音楽で「真理に迫る質問力」を高める

カルフォルニア大学バークレー校:地域文化研究の一環として

コロンビア大学とジュリアード音楽院:単位互換からの共同学位へ

それぞれ、学んでいる学生さんを直接取材してあるのが、面白いところです。例えば最後おコロンビア大学とジュリアード音楽院の単位互換からの共同学位というところでは、単位互換ができる、エクスチェンジ・プログラムに合格した、コロンビア大学経済学部3年生の シンシア・ユンさんを取り上げてあります。成績優秀で音楽も好きなユンさんは、ファゴットを専門にするかどうか決め兼ねていた高校生の時に、受験を決めたそうです。コロンビア大学でフルタイムで通いながら、ジュリアードにも通っているそうです。

コロンビア大学では、基礎教養科目、主専攻である経済科目のほか、音楽科目として大学オーケストラと聴音のクラスを履修。

ジュリアード大学では、キム・ラスコフスキというニューヨークフィルの副主席ファゴット奏者に師事しているそうです。その他、室内楽セミナーへの出席、ニュージュリアードアンサンブルにも参加。

単位互換は、楽器の個人レッスン5単位がコロンビア大学で2単位に、室内楽演奏2単位が1単位に互換されるそうです。

合計5年間で、コロンビア大学の学士号、ジュリアード音楽院の音楽修士をえることができるそうです。

日本でも優秀な国立大学や私立大学には老舗の大学オーケストラがあって、練習も熱心だし、演奏内容も素晴らしいけど、絶対に単位になることはないじゃないですか。どこまでもサークル活動の一環。もったいないなあと思います。ちゃんと単位としてみてめてくれると言うのにびっくりしました。私は音楽大学の音楽教育学科バイオリン専攻というものすごく珍しい学科に所属していたのですが(学年で二人しかいなかった)、オーケストラの授業、弦合奏の授業は、単位になりませんでした。みんなと全く同じように出席しているのに・・。今は改良されてるといいな。

こんな感じで、アメリカの大学で音楽を通じて何を勉強しているかが具体的に書かれている本です。

タイトルにもなっているハーバード大学での講義内容ももちろん書かれています。一般教養は8つに別れていて、その中に「美学的・解釈的理解」というカテゴリの中で音楽はでてきます。

このカテゴリの目的は、文学、絵画、彫刻、建築、音楽、映画、舞踊、宗教、装飾などの文化的表現を、理論的かつ批判的に解釈し、芸術tの世界と知的にかかわりあうことである。理論学習だけじゃなく、美術館鑑賞、パフォーマンスの実践、学芸員、芸術家、プロデューサーなどとの対話や共同作業を通して、実践的な創造活動にも携わる  p.16

具体的には「初日ー5つの世界初演」「アメリカのミュージカルとアメリカ文化」「アフリカとアフリカ系アメリカ研究ージャズ、自由、文化」「文化と信仰ー音楽、討論、イスラム」「西洋音楽入門ー中世からモーツアルトまで」「西洋音楽入門ーベートーベンから今日まで」「調性音楽の基礎」「南インドの音楽」「音楽、心、脳」などだそうで、まさに音楽理論、音楽史、民族音楽学、音楽心理学まで。しかもこれが普通大学の一般教養とは!

あんまりネタバレしてもあれなので、興味が湧いたら是非手にとって読んで下さいね。これを機会に、音楽の時代背景とか、文化構造とか、信仰とか、生徒にもっと面白い話ができるように、関連の本を読んで勉強することにしました。私の夏休みの宿題です。自分で手に負えなかったら、ゲストの先生を呼んできて、レクチャーしてもらう特別講義なんかも企画しようかな。都内でバイオリンを習うというと、エリートのご子息をお預かりすることも多く、そういう世界に羽ばたいていく子どもたちが、世界中の人とこういうレベルの話をさらっとできるような手助けができないかな。とか考えると勉強する励みができます。音楽という切り口で、興味が色んな方面に広がっていくような、そういうレッスンができるようになったらいいな。

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