阿部千春バロック・ヴァイオリンリサイタル

カテゴリ:リサイタル

プログラム

 

6月4日水曜日 SKスタジオにて、コンツェルトケルンのメンバーでいらっしゃる、阿部千春さんのバロックヴァイオリンリサイタル行ってきました。60名限定というなんとも贅沢な空間です。来日されるたびに聴かせていただき、最初はたぶん上野文化会館で、生まれて初めてバロックヴァイオリンの音を聞いて、なんだかよくわかんないなあ。という印象でしたが、今はバロック・ヴァイオリンでこその演奏に、モダンヴァイオリンの物足りなさを感じています。

演目はバッハの無伴奏パルティータ全曲。演奏だけでなく、お話もとても面白く筆記用具を忘れてしまってメモが取れなくて、ものすごく残念でした。1番と2番はイタリア風で3番はフランス風。タイトルもイタリア語とフランス語で書かれているという話を聞いて、あああ、そういえばそうだって今更ながら納得しました。シャコンヌも実はCIACCONAチャコーナってイタリア語で書かれてるんですよね。バッハのこだわりというか、思いを感じます。

この曲をつくた頃に奥さんを亡くされて、しかも旅先から帰ったら亡くなっていて、葬儀も全て終わった後だった。これは数秘学で調べると、奥さんのお名前を数字に直して潜ませてあって、弔いの曲ではなかったのでは?という説もあるという話を聞いた直後に、2番のパルティータを聴いてみると、本当にバッハの心のざわめきと苦悩とか怒りとか、そういうものが心に直球で響いいてきて、ものすごく感動してしまいました。シャコンヌってモダンでもよくリサイタルで演奏されるし、何度もバッハ全曲演奏会とかで生で聴いていますが、この日の演奏が、私にはバッハの気持ちが一番染みてきた演奏でした。

私は趣味でちょっとだけバロック・ヴァイオリンを弾いているのですが、バロックだと弓もはねてくれるし、弦のテンションも低いので、なんというか、軽やかに弾ける楽器のような気がします。この日も、本当にこの曲はいつも演奏されているようなテンポなのか?というテーマもあり、阿部さんの解釈でかなり聞き慣れたものより速い曲が多かった様に思います。テンポ設定って、その曲にとってものすごく大事なんだなとこの日はしみじみ色々と考えました。まるで違う曲のように感じるものもあるし、改ためて曲の魅力を感じ直すものもありました。何より、生きている力のようなものがどの曲からも感じられて、どの曲もあっという間で楽しかったです。バッハってどちらかと言うと、哲学的だったり神々しかったりして、重々しく頭を垂れて聴く音楽ってイメージがあったのですが、もしかしたら、昔の人はこの楽器で弾いていたんだから、このテンポで軽やかにさっそうと弾いていたのではと勝手に確信を持ちました。「人間」がそこに感じられて、ものすごく楽しかったです。

一時期、どの演奏会に行っても曲目も演奏もみんな同じのような気がして、だんだんつまらなくなって、行かなくなった時期があります。サントリーホールでヴァイオリン一本とピアノ伴奏のリサイタルを聴いても、遠すぎて心に突き刺さらないというか。(笑)そのうち、自分がバロックヴァイオリンをやるようになり、その独特の「間」とか「ノリ」のようなものに魅了されて夢中でまた通うようになりました。そしたら、モダンを弾いている人の中にも、心に突き刺さる人とそうでない人がいることがだんだんわかってきました。音楽を聴いても揺さぶられなくなっていた私の心が、バロックのお陰でまた色んなことを感じられる心を取りもどせて、本当に今何を聴いても楽しいんです!

さて、音楽がイタリア風とかフランス風とか、一体どういうことか説明するのに、ものすごくわかりやすい文章があったので引用したいと思います。『バロック音楽 豊かなる生のドラマ』磯山雅著 p.108~109

ヨーハン・マッテゾンは、〜国による音楽の違いをこう記述した。

イタリア人は演奏の面で最も優れている。フランス人は最もよく音楽を楽しんでいる。ドイツ人は作曲と労作にもっともすぐれている。さらにイギリス人は、音楽を最も正しく判断する。イタリア人はほれぼれするようにふるまい、フランス人は愛らしく、ドイツ人は根気よく、イギリス人は公正に振る舞う。イタリア人は巧緻であり、フランス人は才気にとみ、ドイツ人は基礎を重んじ、イギリス人は繊細である。イタリア人は音楽を高揚させ、フランス人は音楽に生気を与え、ドイツ人は音楽を探求し、イギリス人は音楽を正す。

なんか面白いですね。最近の私のテーマは、このイタリア風とかフランス風とかいうことをもっと肌で感じて勉強してみたいということです。また色々刺激をいただいた演奏会でした。

このあと、演奏会に誘ったら来てくれた生徒達と、いつもの階段下の居酒屋で飲んでいたら、阿部さんご本人が登場してくださいました。びっくり〜。うれしい〜。実はこの秋のウイーン旅行で、コンツェルトケルンの演奏会もいく予定です。チケット取れるといいな。なんか、追っかけしてるみたいであれですが・・。(笑)

 

 

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